蛇紋岩とアスベスト

蛇紋岩とアスベスト
(株)地研 ○岡村 洋
山本 亮輔
山中 仁人
嘉茂 美佐子
森 直樹
1. はじめに
蛇紋岩は,アスベストであるクリソタイルを主要構成
鉱物の一つとする蛇紋石からなる岩石である。このため,
蛇紋岩地帯を掘削するトンネル施工により,坑内に粉塵
としてアスベストの飛散が懸念されたことから,蛇紋岩
を採取・鉱物鑑定を実施して、クリソタイルを同定した。
本報告では,蛇紋石の分析において,通常の X 線回折
の他に,赤外吸収法を用いて,蛇紋石の構成鉱物を鑑定
した結果を報告する。
2. 調査地の概要
調査地は,高知県中部に位置している。地質は,秩父
累帯黒瀬川亜帯に属し,泥質岩を基質とするオリストス
ロームが分布,その中に蛇紋岩がオリストリスとして
分布している(図-1参照)。
図-1 調査位置図1)
3. 蛇紋岩について
蛇紋岩は,主に蛇紋石からなる岩石である。蛇紋石は,
クリソタイル(クリノクリソタイル,オーソクリソタイ
ル,パラクリソタイルの3種の鉱物の総称),リザーダイ
ト,アンチゴライトの多形関係にある。リザーダイト,
アンチゴライトは板状結晶として産出,クリソタイルは
繊維状(電子顕微鏡下では筒状)結晶として産出する。ク
リソタイルは,しばしば絹糸状の集合物よりなる脈をつ
くって産出し,アスベスト製品の原料として用いられる。
4. アスベストについて
(1) アスベストの概要
アスベストは,天然に産する繊維状ケイ酸塩鉱物の総
称で,耐熱性・耐薬品性・絶縁性・防音性などの優れた
性質を持っており,建築資材から,家庭用品まで広い用
途で使用されてきた。しかしながら,1970年代初頭から
健康に対する影響が指摘され,わが国においても法が整
備され続け,2006年には,アスベストの輸入・製造等が
禁止となった(労働安全衛生規則他)。
(2)アスベストの種類
アスベストは,「蛇紋石グループ」と「角閃石グループ」
の二つのグループに分けられる。
蛇紋石グループ クリソタイル(温石綿・白石綿)
 クロシドライト(青石綿)
 アモサイト(茶石綿)
角閃石グループ アンソフィライト
 トレモライト
 アクチノライト
実用的に使用されたものは,クリソタイル,クロシド
ライト,アモサイトで,角閃石グループのクロシドライ
ト,アモサイトは蛇紋岩グループのクリソタイルより有
害性が高いとされる。
(3)アスベストの有害性2)
アスベストによる健康被害としては,アスベストを呼
吸によって吸入し,肺に達して肺がんや中皮腫(俗にいう
石綿肺)を発病させることが挙げられる。全てのアスベス
トが肺に達するとはされておらず,一般には幅が3μm 未
満,アスペクト比(長さと幅の比)が3以上のもので,特に
長さが5μm 以上のものが有害とされている。発ガン性の
傾向は,繊維幅0.25μm 付近・長さ8μm 以上で腫瘍発生,
繊維幅0.15μm 付近・長さ10μm 以上で肺がん,繊維幅
0.10μm付近・長さ5~10μm以上で中皮腫とされている。
5. 蛇紋石の判定
採取した試料はクリソタイルが主体と思われた白色を
呈する試料である。
(1) 蛇紋石の X 線回折パターン
蛇紋石の X 線回折パターンは,クリソタイル,リザー
ダイト,アンチゴライトの3種類とも12°と24°付近に大
きなピークがある。その主回折ピークからは相互の区別
ができない。違いは35~36°付近の小さなピークに現れ
るが,クリソタイルのピーク強度はリザーダイト,アン
チゴライトのピークより弱く,混在している場合には,
クリソタイルの確認が困難となる3)。
他には,アンチゴライトは,50~54°,60°付近の小
さなピークに特徴があり,クリソタイル,リザーダイト
とは区別が比較的容易にできる。しかしながら,クリソ
調査地
【68】
全地連「技術e-フォーラム2008」高知
タイルとリザーダイトのピークには,40~45°付近,
60°付近に若干の違いがあるものの,大きな差異がなく,
判別は困難である(図-2参照)。
図-2 蛇紋石の X 線回折のパターン例
(2) 蛇紋石の赤外吸収法解析スペクトルパターン
クリソタイルとリザーダイトの判別は,X 線回折だけ
では難しいことから,赤外線吸収のスペクトルのパター
ンからの判別も行なった。
赤外吸収法は,試料に赤外線をあて吸収された赤外吸
収スペクトルを測定することによって,粘土鉱物などの
同定,あるいは粘土鉱物の2八面体・3八面体型の判別や
同形置換の程度と様子,さらには粘土鉱物の必須成分で
ある水酸基の結晶内での向きなど,粘土鉱物の構造科学
的な情報を得るために利用される実験法である。
クリソタイルとリザーダイトの赤外線吸収のスペクト
ルの波形の違いは,600~500cm-1付近の波形並びに1200
~900cm-1付近にある。図-3のⅠ □ 部に示すように,600
~500cm-1付近の波形では,リザーダイトには,比較的緩
い勾配部が現れる特徴に対して,クリソタイルは,比較
的急勾配部が現れる。また,Ⅱ ○ 部に示すように,1200
~900cm-1付近クリソタイルには,3つの谷部が現れる特
徴がある。それに対して,リザーダイトには谷部は2つし
か現れない。
図-3 蛇紋石(福岡県篠栗産)の赤外線吸収スペクトル4)
(3) 蛇紋石判定結果
X 線の回折結果ならびに赤外線吸収解析結果を図-4~
図-5に示す。図より判定結果は以下のとおりである。
① 試料は蛇紋石鉱物が主体である。
② X 線回折の50°付近,60°付近のパターンより,
アンチゴライトは含まれていない。したがって,X
線回折では,蛇紋石鉱物はクリソタイルとリザー
ダイトのいずれかであると判定される。
③ 赤外線吸収解析結果より,600~500cm-1付近の勾
配,1200~900cm-1付近の3つの谷状の波形より,
蛇紋石はクリソタイルと同定される。
図-4 X 線回折結果
図-5 赤外吸収法解析結果
6. まとめ
X 線回折に赤外吸収法を併用することにより蛇紋石の
鑑定がおこなえた。アスベストの飛散が懸念される蛇紋
岩地帯を改変する箇所においては,事前に蛇紋岩の性質
を調査する方法として有効であると考える。
この論文をまとめるに当り,資料を提供していただい
高知大学正治教授に,ここに厚く御礼申し上げる。
《引用・参考文献》

1)須倉和巳・岩崎正夫・鈴木堯士共著:「日本の地質8-
四国地方-」、共立出版、pp.26,1991.6.
2)社団法人日本石綿協会 HP より引用
3)中央労働災害防止境界労働衛生調査分析センター:「左
官用モルタル混和材中の石綿含有率の測定方法等に関す
る検討会 報告書」、pp.3,2004.6.
4)日本粘土学会編:「粘土ハンドブック 第二版」、技報堂
出版、pp.31,1994.10.
A:クリソタイル
B:リザーダイト
C:アンチゴライト
リザーダイト
クリソタイル
(オーソ)
クリソタイル
(クリノ)
アンチゴライト
40 50 60
40 50 60
30 40 50 60
Chrysotile
Chrysotile(2Orc1)
G(garnet)
G
G
Ⅱ Ⅰ
1500 1000 500
2θ(°)
強度(cps

現代ビジネス 246.7K フォロワー もはや魔法では…この宇宙を支配する「4つの力」が秘めた「不思議すぎる性質」 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 の意見 • 5 日

138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか?

本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。

*本記事は、高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所・編『宇宙と物質の起源「見えない世界」を理解する』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

世界に存在する「4つの力」

前回の記事で、この宇宙にあるものは素粒子でつくられているという話をしました。でも、宇宙は「もの」だけではできていません。例えば、サッカー場にボールを持って選手が集まっただけでは、サッカーの試合をしたことにはなりません。ドリブルして、パスして、シュートをすることで、サッカーをしたと言えます。このドリブルして、パスして、シュートしてという動きについて、ここまでまったく触れてきませんでした。この動きを生み出す作用を「力」と呼びます。

この宇宙では、ものだけがあっても、力が働かないと何も起きません。力と聞いて、皆さんはいろいろな力を思い浮かべると思います。ボールを蹴ったり、ゴールに点が入らないようにボールを止めたりする力。ボールを投げたり、バットで打ったりする力。鉛筆の芯を折ってしまう力。「おしくらまんじゅう」をする力もあるでしょう。私たちはいろいろな種類の力を使っている、と思っています。

でも、本当にたくさんの種類の力を使っているかというと、そうではないのです。この宇宙に働いている力を整理していくと、作用ごとに分類できることがわかりました。そして、最終的に残ったのは4種類。その4つの力を順に見ていきましょう。

感謝しかない「電磁気力」

「表:4つの力の大きさと、それぞれの力を伝える素粒子」を見てください。まず、私たちが一番お世話になっているのが電気の力と磁気の力を統括して捉えた「電磁気力」です。私たちは24時間365日、一瞬たりともこの力を使わないときはありません。

4つの力の大きさと、それぞれの力を伝える素粒子© 現代ビジネス

私たちの身の回りにあるものはすべて原子でできています。実は、原子が分子としてくっついていることができるのも、電磁気力のおかげです。ものに触れて蹴ったり、止めたりと力を加えるときにはすべて、この電磁気力が働きます。もちろん、「おしくらまんじゅう」のときも、鉛筆の芯を折るときも、日常生活で私たちがものに関わるときはたいがい、この力が働いています。

寝ているときは、何も力がかかっていないのでは? 果たしてそうでしょうか。寝ているときでも、ベッドや布団と接していますから、そこではやはり電磁気力が働いています。しかも、ベッドや布団が動かないで止まっているのは、ベッドや床との間に摩擦が働いているからです。この摩擦も、床と布団の間に電磁気力がかかることで発生しています。

私たちがご飯を食べて動き回るとき、食べ物から吸収したエネルギーは最終的に電気になって筋肉を動かします。また、目や耳などで捉えた情報は電気信号の形になって脳に運ばれますし、考え事をしているときも、神経細胞の中を電気が走ります。こう考えると、さまざまな場面で電磁気力に仕事をしてもらっていることがわかります。私たちは実に電磁気力をたくさん使っています。

「落ちるリンゴ」と言えば…

私たちが普段接している力は、電磁気力の他にもう1つあります。それは地球からの「重力」です。

重力はイギリスのアイザック・ニュートン博士が発見したことで有名です。ニュートン博士はリンゴが落ちる様子を見て、重力を発見したといわれています。

ニュートン博士は、リンゴは落ちるのに、なぜ月は宙に浮かんでいるのか? それが気になったのです。そしてニュートン博士は、実は月だって落ちていることを数学によって導き出しました。落ちているけれども地上に対してすごいスピードで水平に動いていて、落ち切らずに地球の周りを回っているのだと。月もリンゴも何でもかんでも落ちるのだと。

photo by iStock© 現代ビジネス

地球が引っぱっているのはリンゴと月だけではありません。すべてのものの間で働く引っぱり合う力という意味で「万有引力」と教わった人もいるでしょう。

私たちが地球上で暮らしていけるのは、地球が大きな重力で私たちを引っぱってくれているからです。月が地球の周りを回っているのも、地球と月が重力で引っぱり合っているからです。もし、地球の重力が月に働いていなかったら、月はとっくの昔に、どこか遠くに飛んでいってしまっています。同じように、地球は太陽の巨大な重力と引っぱり合っているから、太陽の周りをぐるぐると回っていられるのです。

その他の「2つの力」はどこへ?

4つの力のうちで私たちが日常的に接しているのは、電磁気力と重力の2種類だけです。

4つの力のうち、電磁気力と重力以外の力は、原子核よりも狭い範囲にしか働かないので、20世紀になって原子核を研究することによって初めて、そういう力があることがわかってきました。

明らかになった2つの力は、「強い力」と「弱い力」と言います。冗談のように聞こえる名前ですが、れっきとした物理学用語です。でも「強い力」と「弱い力」だけでは何のことだかわかりません。

実は、この名前は大事な部分が省略されています。強い力は「電磁気力よりも強い」力、弱い力は「電磁気力よりも弱い」力なのです。強い力は強い相互作用、弱い力は弱い相互作用とも言います。

photo by iStock© 現代ビジネス

強い力は、クォーク同士をくっつけて陽子や中性子をつくるときに使われる力です。この力があるおかげで、プラスの電気をもったアップクォークが複数あっても、マイナスの電気をもったダウンクォークが複数あっても、それらをくっつけて陽子や中性子をつくります。また、プラスの電気をもっている陽子と電気をもっていない中性子をくっつけて原子核をつくるのにも役立っています。

一方、弱い力は他の3つの力と違い、何かを引き寄せたり、押しのけたりする力としては働いていません。例えば大理石からは微量の放射線が出ていますが、このとき、弱い力が働いて粒子の種類を変化させ放射線が出ます。弱い力は、粒子の種類を変える錬金術のような力です。

TABIZINE 6.4K フォロワー 【月の不思議】いまだに解明されていない謎5選!最新の月面探査計画・月旅行も紹介 1 日 • 読み終わるまで 5 分

月とはご存知の通り地球に一番近いところにある天体です。しかし、いまだに多くの謎があります。日本には「月うさぎ伝説」や『竹取物語』のかぐや姫といった、いくつもの伝説や物語が残っているため、月はどこか神秘的な存在ですよね。今回は、そんな月の不思議にフォーカス。最新の月面探査計画・月旅行についても、あわせてご紹介します。

月から見た地球のイメージ© TABIZINE 提供

月はどんな天体?

 

地球の周りを回る月のイメージ© TABIZINE 提供

地球からおよそ38万km離れた場所にある天体で、直径は約3,476kmと地球の約4分の1の大きさです。質量は地球の81分の1、月の公転周期・自転周期は約27.32日になっています。

地球とは異なりほとんど大気がないため、昼夜の温度差が激しく、月の赤道付近の観測によると、昼は110℃、夜は-170℃と、200℃以上も差があることがわかっています。

月は地球の周りを回る衛星です。そのため、月と地球と太陽の位置によって見え方が、満月や三日月、新月(月が地球と太陽の間にあり、地球から月の影の部分しか見えない)と、変わります。

また、地球は月の引力を受けており、月の位置によって満潮と干潮が起こります。さらに太陽の引力からの影響も少なからず受けていて、月の満潮と太陽の満潮が重なったときは「大潮」になります。

 

解明されていない月の謎5選

 

満月のイメージ© TABIZINE 提供

神秘的な雰囲気が漂う夜空に浮かぶ月、まだ解明されていない謎がいくつもあります。ここからは、月の代表的な謎についてご紹介します。

 

月の起源

アポロ計画で実施された調査や実験により、月の誕生は地球の誕生と同じく、およそ45億年前であることがわかりました。

しかし、地球の一部がちぎれて月になった説や、まったく違うところで生まれた月が地球の重力に捕らえられた説、地球ができあがった頃に、火星くらいの大きさの星が地球にぶつかり、宇宙空間に広がった地球のかけらが集まって月が形成された説などがあり、どのような過程を経て月ができたのかは、わかっていません。

 

月の裏側

月は地球の周りを1公転する間に、1自転するため、地球から見えるのは月の表面のみです。そして、月の表側の明るい部分は「高地」、暗い部分は「海」と呼ばれています。実は月の裏側は、広大な平原である「海」がほとんど存在せず、クレーターだらけで荒々しいです。

最近では、表と裏では地下のつくりも異なることがわかっていますが、どうして月の表側と裏側がこれほどまで異なるのかは判明していません。

 

月の中心

地球の内部は大きく分けてコアとマントルの2つで構成されています。コアは鉄やニッケルでできた固まりで、一方のマントルは、コアの周りを包む層で、地球の内部をゆっくり動いています。しかし、月の内部はこれまでの調査の結果、金属でできたコアがあることは間違いないようですが、詳しいことはわかっていないのです。

 

衛星にしては大きい

金星と水星を除き、太陽系の惑星には衛星があります。ほとんどの惑星の衛星は、その惑星と比較して小さく、いびつな形をしています。ですが、月の直径は地球の4分の1と大きく、真球に近い形に見えます(実際の月は歪んでいます)。

 

月は年々地球から離れていっている

アポロ計画で宇宙飛行士が月面に鏡を設置したことにより、地球の科学者がその鏡にレーザーを当てることで、月が地球から少しずつ遠ざかっていることが判明しました。1年に約3.8cm遠ざかっているのです。

しかし、約500億年後には月の公転と地球の自転が一致し、それ以上、地球から月は離れていかなくなるとか。とはいえ、それよりも早い50億年後に太陽が「赤色巨星」と呼ばれる状態になり膨張し、地球を飲み込むといわれています。

続いて、将来的な月旅行につながることが期待される「アルテミス計画」について解説します。

 

国際探査計画「アルテミス計画」とは?

 

月に上陸した宇宙飛行士のイメージ© TABIZINE 提供

1969年、アメリカのアポロ計画による人類初の月面着陸から半世紀以上の時を経て、現在、アメリカ航空宇宙局NASA)主導の国際探査計画「アルテミス計画」が本格化。これは2025年以降(2026年9月以降になる可能性大)に人類を送り、月を周回する有人拠点などの計画を通じ、月に物資を運び、月面拠点を建設し、月での人類の持続的な活動を目指すものです。

この計画を推進するため、2020年10月にアメリカ、日本、カナダ、イタリア、ルクセンブルクUAE、イギリス、オーストラリアの8カ国がアルテミス合意にサインしました。

なお、月を周回する有人拠点であるゲートウェイは、月面や火星に向けた中継基地のことで、2028年の完成を目指しています。JAXA宇宙航空研究開発機構)で開発中の国際宇宙ステーションへの輸送機である「HTV-X」は、最終的にはゲートウェイへの輸送にも使えるように検討中だそうです。

さらにJAXAでは、宇宙飛行士が一定期間居住できる機能と空間を備えた、月面上の広い範囲を持続的に移動可能なモビリティ「有人与圧ローバ」の実現も目指しています。いやはや、少し先の未来を考えただけでワクワクしてきますね。

そして、2024年4月8日には、おめでたいニュースが! なんと東京大学学習院大学岡山理科大学東北大学JAXAや海外の研究機関などと共同で開発を進めている「月面誘電率計測器」がアルテミス計画に採択されたそうです。「月面誘電率計測器」は、月面に設置された後、独立した小型基地のように月面で観測を開始するといいます。

 

イーロン・マスク率いるスペースXが現在開発中の宇宙船の役割

 

スペースシャトルの打ち上げのイメージ© TABIZINE 提供

「アルテミス計画」には、この先8回以上予定されている月へのミッションがあります。

月周回試験飛行と地球帰還を無人で行う「アルテミス I」はすでに成功していますが、4人の乗組員が宇宙船に乗り、月を周回して地球に帰還する「アルテミス II」、2人の宇宙飛行士がスペースXの宇宙船「スターシップ」(現在開発中)に乗り込み、月の南極近くに着陸し、約6日半、月面での船外活動を行う「アルテミス III」を2025年9月以降に順次実施予定です。

しかし、「スターシップ」は3度の飛行試験を実施し、すべて失敗に終わっています。とはいえ、これまでの失敗を糧に改良され、月や火星に向けて着実に前進しているようです。

 

宇宙飛行士のイメージ© TABIZINE 提供

大きな話題になった、前澤友作氏のスペースXによる月周回飛行も、2024年以降に延期されましたが、近い将来、人類が再び月面を歩くことになるのは間違いなさそうですね。

スペースXは打ち上げ頻度を高めることも計画しているため、100年といわず、50年以内に一般人の月旅行が可能になるかもしれません。月のお土産は、やはり月の石なのでしょうか(地球に持ち帰れる数や重さなどを制限されそう)。いろいろなことを想像してしまいますね。同時に、月の数々の謎がひとつでも解明されることを願っています。

[参考]

JAXA宇宙航空研究開発機構

スペースXの大型宇宙船 試験飛行中に信号途絶える 空中分解か|NHK

前澤友作さん計画の月周回旅行 ことし中の打ち上げ断念|NHK

人間2人を月に送り込むNASASpaceXの偉大な計画が始動|Forbes JAPAN

※画像はすべてイメージです

[All photos by Shutterstock.com]

宇宙の始まりはビッグバンではない! 宇宙物理学者の吉田直紀が研究の最前線を語る

宇宙の始まりはビッグバンではない! 宇宙物理学者の吉田直紀が研究の最前線を語る

インタビュー

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地球一やさしい宇宙の話

『地球一やさしい宇宙の話』

著者
吉田 直紀 [著]
出版社
小学館
ジャンル
自然科学/天文・地学
ISBN
9784093886369
発売日
2018/12/12
価格
1,430円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

宇宙の始まりはビッグバンではない! 宇宙物理学者の吉田直紀が研究の最前線を語る

[文] 中野富美子

はじめに「宇宙卵」があり、それが爆発して宇宙が生まれた――。子どものころ、そう書かれた本を読んだ人もいるはず。でも、最新の学説では「宇宙は真空のゆらぎ」から生まれたらしい。真空という何もないところから宇宙が生まれたなんで、信じられない! 数々の宇宙の謎を解き明かしてきた吉田直紀さんに、最新学説を聞いてみた。

天の川銀河(右)とアンドロメダ銀河(左)は衝突することが確実視されている。これも重力の影響だ(NASA; ESA; Z. Levay and R. van der Marel, STScI; T. Hallas; and A. Mellinger)
天の川銀河(右)とアンドロメダ銀河(左)は衝突することが確実視されている。これも重力の影響だ
NASA; ESA; Z. Levay and R. van der Marel, STScI; T. Hallas; and A. Mellinger)

 ***

宇宙の美しさに惹かれて天文少年に

◎――吉田先生は、子どものころから宇宙に興味をもっていたのですか?

吉田 小学校に上がったころから、科学全般に興味があったのですが、どちらかというと虫や動物といった生物系ではなくて、ツタンカーメンなどの考古学や天文学分野が好きでしたね。
 宇宙に興味をもったのは、ビジュアルに惹かれたからです。星雲とか銀河といった美しい天体写真を図書館で見て、「きれいだなぁ」と思って……。
 小学校の5年生のとき、父親に天体望遠鏡を買ってもらってからは、天気のいい夜はいつもベランダに持ち出して、星の観察ノートもつけていました。
 小学校の卒業文集には、「将来の夢は宇宙飛行士」と書いた記憶があります。

◎――東京大学では「航空宇宙工学」を専攻されました。これは宇宙に関連していますが、大学院(スウェーデン王立工科大学)では、応用数学を研究されたのですよね。

吉田 応用数学というのは、さまざまな方程式などについて、基礎となる解があるかとか、似たような方程式があるかなどを研究するのですが、とても抽象的な研究です。
 もちろん、興味があったから専攻したのですが、博士課程(ドイツのマックスプランク宇宙物理学研究所)に進むときに、もう少し具体的な対象がいいなと思い、その対象として、子どものころから好きだったテーマである「宇宙」に戻ってきたんです。

◎――宇宙に関連する学問で、一般の人がまず思い浮かべるのは天文学だと思いますが、先生のご専門である「宇宙物理学」とはどんなものですか?

吉田 「宇宙物理学」は、宇宙のさまざまな現象を、物質の基本的な法則や性質など物理の理論をもとにして研究する学問です。
天文学者は宇宙を観測する」といわれることもありますが、いまや両者の違いはあまりありません。天文学者が理論研究をすることもあるし、宇宙物理学者が観測をすることもあります。
 大学など日本の研究機関では、天文学は「天文学科」、宇宙物理学は「物理学科」に分かれていますが、海外では「physics & astronomy」として一体化しています。むしろ、「惑星」とか「ブラックホール」といった研究対象の違いで分けるのが普通ですね。

「宇宙はビッグバンで始まった」は間違い

◎――ここ数年で大きなニュースになった宇宙の話題といえば、ニュートリノとか重力波ですね。どれも難しい印象があって、いまひとつ、ちゃんと勉強しようという気になれないのですが……。

吉田 ニュートリノなどの素粒子は、物質の起源など根源的な事柄に関わるものですから、「Aがわかれば、Bがわかる」と、単純にいうことはできません。だから、余計に難しく感じられるのかもしれませんね。
 でも、宇宙の話は、量子――素粒子など、それ以上分割できない物理的な最小単位――や、相対性理論のさわりだけでも知っておいたほうが、よりおもしろく感じられると思います。
 たとえば、「宇宙の始まりはビッグバンではない」といったら、驚かれる方が多いのではないでしょうか。
 物理学で扱う「真空」とは、粒子が反粒子とのペアで生まれては瞬時に消滅しており、平均すると何もないという状態のことで、宇宙が誕生するときも同じような状態にあったと考えられています。そして、ものが生まれては消える状態を「真空がゆらいでいる」といい、あるときそのバランスが大きく崩れて宇宙が生まれたと考えられているのです。
 誕生したあと、一瞬にして無限の大きさになった宇宙は、その後、物質のもととなる素粒子や光を生み出し、超高温になってさらに膨張します。それが、ビッグバンなのです。

◎――そう聞くと、興味が湧いてきますね。吉田さんの著書『地球一やさしい宇宙の話』では、「重力」がキーワードになっていますが、そもそも重力の正体がわかっていないということも書かれていました。

吉田 そうです。重力のはたらきがどのようなものなのかも、じつはよくわかっていないのです。

◎――日常生活で重さを感じているのに、その仕組みがわかっていないのは不思議ですね。

吉田 ただ、私たちも、地球も、そして宇宙も、重力の恩恵を受けていることは確かです。地球が太陽の周りを回るのも、ぼくたちが暮らす太陽系が銀河系から放り出されずにいられるのも、宇宙がいまの構造になったのも重力のおかげです。いわば、「宇宙は重力の賜」なのです。
 その重力は、高校までは、「下向きの力」として教えられていますね。重さのあるものは下――地球の中心に向かって引かれる、というわけです。
 でも、宇宙には上も下もありません。ぼくたち宇宙物理学者は、重力を「空間のゆがみ」としてとらえます。

◎――相対性理論ですね。私たち一般人には、ちょっとハードルが高すぎるのですが……。

吉田 「時間と空間がゆがむ」とか、「時間が負に流れる」などという話を聞くと、「それはおもしろい」と思う人がいる一方で、数学的な話を毛嫌いされる人もいますね。宇宙に関する、不思議でおもしろい話にたどり着く前に、シャッターを下ろしてしまう……。
 それではもったいないので、私の書いた『地球一やさしい宇宙の話』では、月や太陽といった身近な天体を入り口に、数式を使わないで、相対性理論量子力学、そしてブラックホールまでをスッキリと説明したつもりです。

 ***

<プロフィール>
吉田直紀(宇宙物理学者)
1973年、千葉県生まれ。東京大学工学部航空宇宙工学科卒業、同大学院工学系研究科修了。2002年、マックスプランク宇宙物理学研究所(ドイツ)博士課程修了。ハーバード大学天文学科博士研究員、名古屋大学助教等を経て、東京大学大学院理学系研究科教授(現職)。カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員も兼任する。宇宙論と理論天体物理学の研究に従事し、スーパーコンピュータを駆使してダークマターダークエネルギーの謎に挑んでいる。著書に『宇宙137億年解読』(東京大学出版会)、『宇宙で最初の星はどうやって生まれたのか』(宝島新書)、『ムラムラする宇宙』(学研)などがある。

インタビュアー 中野富美子

小学館
 
2019年2月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

小学館

現代ビジネス 241.1K フォロワー これが無いと、私たちの身体はすぐバラバラに…宇宙で最も重要な「強い力」の正体とは 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所 の意見 • 10 時間 • 読み終わるまで 3 分

138億年前、点にも満たない極小のエネルギーの塊からこの宇宙は誕生した。そこから物質、地球、生命が生まれ、私たちの存在に至る。しかし、ふと冷静になって考えると、誰も見たことがない「宇宙の起源」をどのように解明するというのか、という疑問がわかないだろうか?

本連載では、第一線の研究者たちが基礎から最先端までを徹底的に解説した『宇宙と物質の起源』より、宇宙の大いなる謎解きにご案内しよう。

*本記事は、高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所・編『宇宙と物質の起源「見えない世界」を理解する』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。

「重力」はこの世界で一番小さい力

この宇宙で働く4つの力を整理すると、私たちが常に感じることのできる電磁気力と重力、感じることがなかなかない強い力と弱い力に分けることができます。

私たちは、地球の重力によって常に、地球に引っぱられています。普段意識することはなくても、重力は私たちにとって感じやすい力なので、それがとても大きい力だと思い込んでいます。しかし、それは勘違いです。

例えば、クリップでも釘でも、鉄でできたものを机の上に置きます。そして、クリップや釘の上から磁石を近づけてみます。すると、クリップや釘は机を離れて磁石に吸い寄せられます。クリップや釘には下向きに重力がかかっています。重力がかかっているにもかかわらず磁石に引き寄せられたということは、重力よりも磁石の力、つまり電磁気力の方が大きいということです。

しかも重力は、電磁気力より小さいだけでなく、4つの力の中で一番小さい力です。4つの力の大きさを比べてみましょう(「表:4つの力の大きさと、それぞれの力を伝える素粒子」)。

4つの力の大きさと、それぞれの力を伝える素粒子© 現代ビジネス

電磁気力の力を1としたとき、強い力は電磁気力の100倍で、弱い力は1000分の1くらい。ところが重力は電磁気力の10の38乗分の1倍! もし、電磁気力が太陽を持ち上げる力があったとすると、重力は0.1ミリグラムの小さな薬のカプセルすら持ち上げられないくらいの小さな力です。

私たちが生きていられるのも「強い力」のおかげ

では、私たちはなぜ、重力が大きな力だと勘違いしているのでしょうか。

電磁気力にはプラスとマイナスがあり、お互いを打ち消してゼロになることが多いのに対して、重力は引き合う力しかないので、打ち消し合うことがありません。また、質量が大きくなればなるほど重力は大きくなります。私たちは、大きな質量をもつ地球の上で暮らしていて、地球の重力を常に受けているので、重力が大きな力だと感じているのです。

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ちなみに、電磁気力と強い力の関係も重要です。強い力が電磁気力よりも小さかったら、クォーク同士をくっつけて陽子や中性子をつくることができません。

電気はプラス同士、マイナス同士が狭い空間にあると反発します。陽子の中にはプラスの電気をもったアップクォークが2個あり、中性子の中にはマイナスの電気をもったダウンクォークが2個あるので、反発して離れようとしています。でも、離れずに陽子や中性子をつくれているのは、強い力が引きとどめてくれるからです。陽子や中性子がバラバラになっていたら、私たちの体をつくる原子ができなくなってしまいます。

私たちが生きていられるのも、強い力があるおかげです。

力の運び役としての素粒子たち

この宇宙に存在するものは素粒子でできています。実際、原子をつくる素粒子と、それによく似ている仲間の素粒子が発見されました。実は、素粒子にはもう1つのグループがあります。それが、力を伝える素粒子たちです。4つの力は、それぞれ異なる素粒子によって伝えられます。

磁石が鉄を引き寄せるときは、磁石と鉄の間で電磁気力を伝える「光子」という素粒子がキャッチボールのように交換されることで、力が働きます。電磁気力の場合は、電気の符号によって異符号なら引き寄せ合い、同符号なら反発します。

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強い力が働くときも、いくつかのクォークの間で強い力を伝える素粒子グルーオン」が交換されることで、それぞれのクォークに関係が生まれ、くっつきます。

弱い力の場合は、例えば、中性子の中のダウンクォークに弱い力を伝える負電荷の「W粒子」が働いて、中性子を陽子に変化させます。また、弱い力を伝える「Z粒子」も見つかっています。

クォークや電子など、ものをつくる物質素粒子の仲間は、グルーオン、光子、W粒子、Z粒子といった力を伝える素粒子を交換することで、お互いに関係ができ、それらの素粒子の間で力が働いて素粒子の状態を変えます。

今のところ、4つの力のうち、電磁気力、強い力、弱い力の3つでは力を伝える素粒子が発見されています。重力にも力を伝える素粒子が存在すると考えられており、一応「重力子」という名前がつけられているのですが、まだ発見されていません。

現代ビジネス 238.3K フォロワー 「死」の少し前に起こること…医者に「余命」を告げられたとき、知っておいたほうがよい「意外な事実」 久坂部 羊 によるストーリー • 2 日 • 読み終わるまで 3 分

だれしも死ぬときはあまり苦しまず、人生に満足を感じながら、安らかな心持ちで最期を迎えたいと思っているのではないでしょうか。

私は医師として、多くの患者さんの最期に接する中で、人工呼吸器や透析器で無理やり生かされ、チューブだらけになって、あちこちから出血しながら、悲惨な最期を迎えた人を、少なからず見ました。

望ましい最期を迎える人と、好ましくない亡くなり方をする人のちがいは、どこにあるのでしょう。

*本記事は、久坂部羊『人はどう死ぬのか』(講談社現代新書)を抜粋、編集したものです。

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余命の意味

自分がいつ死ぬのかがわからないのは、とてもいいことだと思います。

もし、死ぬ日時がわかっていたら、それが何十年も先の場合は別として、十年を切ったあたりから、正月を迎えるたびにあと何年と気になり、さらに進むと、月が変わるたびに、あと何年何ヵ月と緊張の連続になるでしょう。ましてや余命が一年を切ったりすると、それこそ毎日、貴重な残り時間が指の間からこぼれ落ちるような恐怖に駆られるのではないでしょうか。

がんで治癒が望めない状態になると、医者は患者さんや家族に余命を告げることがあります。残酷な気もしますが、あらかじめ心づもりをしてもらうほうが、患者さんの側にも医療者側にもよい効果があるからです。

しかし、医者の告げる余命の意味は、正しく理解されているのでしょうか。

私の友人は、母親が肺がんになったとき、治療の相談の電話をかけてきて、「医者に余命は五ヵ月と言われた」と言いました。余命が半年とか三ヵ月というのはよく聞きますが、五ヵ月とはまた中途半端というか、珍しいと思ったので、「ほんとうにそう言われたのか」と聞くと、「一ヵ月前に余命は半年と言われた」とのことでした。

医者は予言者ではないので、そんなにピタリと余命を言い当てることはできません。にもかかわらず、医者の説明をそこまで真に受ける患者さんや家族がいることを、医療者は知っておいたほうがいいかもしれません。

実際、患者さんの認識のズレは、医療者の想像をはるかに超えることがあります。

余談ですが、私が在宅医療のクリニックにいたとき、同僚の若い医者が、体調がよくないと訴えるがんの患者さんに、「がんだから」と言うとショックが大きいだろうと思い、「○○さんの病気は悪性ですから」と説明すると、相手は驚いたようにこう言ったのです。

「がんとは聞いとったが、悪性とは知らなんだ」

閑話休題

そもそも、医者は余命を告げるとき、短めに言うのはご存じでしょうか。

でき得るなら、少しでも長めに言ったほうが患者さんや家族の慰めになるのに、わざわざ悲しませるようなことを言うのはなぜか。それはあとあとのことを考えるからです。

仮に余命半年と言って四ヵ月で亡くなると、「半年だと聞いていたのに」と、ご遺族が嘆いたり、怒ったりして、下手をすると「治療にミスがあったのでは」と疑われかねません。だから、つらいのを堪えて、「余命は三ヵ月ほどです」と言うのです。そうすると、四ヵ月で亡くなっても、「一ヵ月、よく頑張ったな」となり、「先生のおかげです」と、感謝してもらえたりします。

余命を具体的に言うと、いろいろトラブルもあるので、「余命は三年」と言う代わりに、「余命は年単位です」などと言うこともあります。余命が半年とか三ヵ月のときは、「月単位」、一ヵ月を切ると「週単位です」などと言います。もともと、医者にも正確な余命はわからないので、ぼかした言い方をするのです。

しかし、ときに「この病気の平均余命は○年○ヵ月です」などと、はっきり言われることもあります。すると、多くの人は「だいたいそれくらいで亡くなる人が多いのだな」と思うかもしれませんが、そうではありません。

この場合に告げられるのは、「中央値」と言って、百人の患者さんに治療をしたとき、五十番目に亡くなった人の余命のことなのです。治療をはじめると、早く亡くなる人もいれば、長く生き延びる人もいます。亡くなるペースは一定ではないので、中央値といっても、決して最初と最後に亡くなった人の真ん中というわけではありません。

患者さんにすれば、自分のことですから、余命は大いに気になるでしょうが、データはあくまで参考にすぎず、その通りになる保証はありません。なぜなら、統計は個人には当てはまらないからです。九五パーセントが安全な手術でも、二十人に一人は命を落とす危険があり、その一人になった場合は、事前のデータはまったく無意味ということになります。

いずれにせよ、医者に余命を告げられても、あまり気にしないのがよいでしょう。気にしたって、余命が延びるわけではありませんから。

さらに連載記事<突然、看護師が「遺体の肛門」に指を突っ込んで…人が「死んだあと」に起こる「意外なやりとり」>では、人間が死んだ後の様子について詳しく解説しています。

スポニチアネックス 393K フォロワー 宇多田ヒカル 8歳の息子に聴いてもらいたい日本の歌明かす 自身は「ほとんど知らなかった」 スポーツニッポン新聞社 によるストーリー • 6 時間 • 読み終わるまで 1 分

 シンガー・ソングライター宇多田ヒカル(41)が28日放送のテレビ朝日系「EIGHT-JAM」(日曜 後11・00)にゲスト出演し、8歳の息子に聴いてもらいたい日本の歌を明かした。

 宇多田は10年に「人間活動」に専念するためアーティスト活動を休止し、英国ロンドンに渡った。そこで再婚(後に離婚)、15年には第1子男児を出産した。

 宇多田はロンドンに住み始めてから、日本語を話すことがあまりなかったことで「読むくらい。話し言葉よりもっと高次元で整理整頓された、削ぎ落された日本語。しかも文学的なのに触れていた」ことで日本語への意識が変化したという。

 そんな中、「日本語で歌い始めた時、私が日本語の童謡をほとんど知らなかったんです。息子には日本語の童謡を聴いていてほしいなと思って」と明かした。

 さらに「自分が分からないからボタンを押すとそういう曲が流れる本があって、それを私も聴いて覚えて一緒に歌ったりした。ぞうさんとか…。こんな歌詞なんだ、泣いちゃう」と振り返っていた。

 また、歌詞については「日本語の方が好き」と語り「自由度がすごく高いんですよ。語尾だって、敬語にもできるし、だよ、だぜ、だ、だもん、何でもありじゃないですか。そこで、言っていることのニュアンスが全然違うし。主語がいらない言語なので、それがすごく面白いです」とバイリンガルならではの感想も明かしていた。