第64回青少年読書感想文全国コンクール 宮内庁ホームページより抜粋

第64回青少年読書感想文全国コンクールで,表彰された皆さん,おめでとうございます。
 私がこの表彰式に出席するのは今回が15回目になります。授賞式の後には,受賞者の皆さんとお話をする機会がありますが,皆さんが,読んだ本について笑顔で生き生きと話してくれることが強く印象に残っています。
 自分が感じ,考えたことを文章にすることは簡単なことではなかったと思います。受賞された方々以外にも感想文に取り組まれた多くの皆さんが,自分の得た感動や思いを人に伝えようと苦心して言葉を紡いだ努力は,きっと感想文を読んだ一人一人の心に届いたことでしょう。そして,その経験は皆さんの中にも貴重な財産として残り,皆さんの豊かな人生につながっていくことでしょう。
 同じ本であっても何年か後に読み直すと,作品の持つ深みや面白みが,より分かったように感じることがあります。優れた作品は,読む人の成長に合わせて,人生の折々に読み返すことで,より深く内容が理解でき,新たに学ぶことができるのではないかと思います。皆さんも是非,大人になったときに,子供時代に読んだ本の何冊かをもう一度読んでみてください。きっと新たな発見の喜びを見いだすことができるでしょう。
 天皇陛下は,皇太子時代にこの式典に出席され,本を読み,よく考え自分のものとすることの大切さ,すなわち「考える読書」の習慣を身に付け,視野の広い心の豊かな人になってほしいと話されました。私は,皆さんの書かれた感想文の幾つかに,毎回目を通しますが,そこにはこの思いが脈々と受け継がれていることが分かり,とてもうれしく思っています。
 今回のコンクールは410万編を超える作品が寄せられたと聞きました。学校や家庭などで,子供たちの読書活動を支えてくださっている多くの方々に心から敬意を表するとともに,読書によって若い人々が,多くの感動を経験し,心豊かに成長されることを期待いたします。あわせて,このコンクールの一層の発展を願い,お祝いの言葉といたします。